【小説】鈍器マスターの憂鬱と大工お姉さんのお話

コーパルは今日も鍛錬をしていた・・・もちろん魔法(物理)の鍛錬である・・・
「はぁ!!てやぁ!!ていやぁー!!・・・ハァハァ・・・」
コーパルは杖を振るのをやめた。振るのに疲れたのか座り込んでしまった。そこにハンマーをかついだコーパスの知り合いが立っていた。
「コパくん、今日も精が出るやん?」
「君か・・・何の用?」
そう、このはだ。
「いや別に用があるわけやないんやけどたまたま通ったらコパくんがいただけや!!」
このはは笑いながら言った。
「あっそ・・・」
コーパルは今の気持ちは憂鬱だ・・・こんなに努力しても魔法やコピー能力一つも使えない・・・本当に笑えないな・・・そんな気持ちでいっぱいだ。そんなコーパルはうつむきながら言った。
「僕のことほっといてくれよ・・・」
「なんでなん?」
このははコーパルの顔を覗き込みながら聞いてきた。
「・・・」
コーパルは黙ってそっぽを向いた。
「てぇい!!」
ハンマーでいきなり叩かれた。ほぼパワーマックスと言ってもいいだろう。このはは、そんなものをコーパルの頭にぶち込んだのだ。
「痛ぁあ!?何すんだよ!?痛いだろう!?僕のこと殺すきか!?」
コーパルはびっくりしながら言った。叩かれたところにはキュートな猫の肉球スタンプが押されている。
しかし、このはは少し顔を真面目にしながら言った。
「コパくん今日なんかものすごく暗い感じやねんね?そんなコパくん嫌やで?コパくんは面白くて健気で誰よりも努力してる姿の方がお似合いやねんね?」
「!!」
コーパルは驚いた・・・鈍器マスターと認定されてそれで悔しくて魔法の鍛錬をしてきた・・・努力が報われないまますごしてきた・・・このはは、そんな僕を見てきてくれたんだ・・・そう思った。
「だけどうち鈍器マスターの方が似合うと思うんやwww」
「結局そうなるのかよぉぉぉぉぉぉおおお!!!」
コーパルの悲鳴は高らかにムーンホールの空に響いた。
そう・・・ムーンホールは今日も平和だということだ。

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