【小説】星降る夜空、来訪者あり。

それは、空に雲一つなく、空気がとても澄んでいて、キラキラ光る星たちが、ちょっとだけ眩しく感じるような、そんな夜のことだった。

「あっ流れ星! ……じゃない?」

窓辺に佇み煌く星々を見上げていた少女は、流れ星のように弧を描く奇妙な星を見た。
けれどもそれは、消えることなく、しかも次第に大きくなって、大きく、大きく……おお、きく?

「って、う、うそぉっ! こっちに落ちてきてる?!」

少女が気付き、声を上げたときには既に遅く。
星は目も眩むような光を帯びて、空から真っ逆さまに――堕ちた。

「きゃぁああっ! …………って、あれ? なんとも、ない?」

暗闇に包まれていた辺りが、パッと昼間のように明るくなり、あわや世界の滅亡か、村の消滅かと思われたのは、ほんの一瞬のことだった。
少女はぱちぱち、と瞬きをしてポカンを口を開けていたが、はっとしたように急いで窓の外を覗きこんだ。
あの眩い光は消え失せていて、その代わり、星が堕ちた中央広場の方で僅かに光を放っている何かが見えた。

「……なんだろう」

生来持ち合わせている強い好奇心に突き動かされるように、少女は小さな家の扉を開いた。
走りだしたいと急ぐ気持ちを抑えて、ゆっくり、ゆっくりと、ぼんやりとした光を纏う“何か”に近付く。
高鳴る鼓動が、緊張と興奮によって一層大きく鳴ったとき、思わず少女は息を呑んだ。

「キミ、は」

呆然と立ち尽くす少女に気付いた“何か”は、星の光の名残の中、オレンジ色のハネを揺らめかせながら振り返り、口を開いた。

「こんばんハ! ワタシ、宇宙から遥々この村にやってきましタ、アルナスルと申しまス!」

流れ星と共にやってきた、不思議でおかしな来訪者は、「以後お見知りおきヲ!」と言いながら少女の手を取り、人当たりの良い微笑みを浮かべた。
いつの間にか強制的に握手をさせられていた少女はと言えば、そんなことには気付かずに、予想外の出来事が起こり、驚きすぎたせいなのか、それとも余程肝が据わっているのか、「宇宙人って、本当にいるんだぁ」なんてことを、異変に気付いて騒がしくなりはじめた村の中心で、呑気に考えていたのだった。
 
 
 
――満天の星輝く美しい夜のこと。
    スタビレッジに宇宙人の来訪者あり。

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