「皆さん!町興しをしましょう!!」
バン!と勢い良く食堂に飛び込んできたテスタが、そう叫んだのが全ての始まりだった。
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「町興しとは、これまた唐突ですね。なにかあったんですか?」
カウンターで干物をつついていた九曜がテスタの方に向き直って言う。
「いやあ、それがですね?ボクとしては元々ちょーーっと最近、バンバタに活気がなくて寂しいなーとは思っていたんですけど……」
「なんと!つい先日新しい大型ダンジョンへの扉が見つかりまして!これは一大イベントを興すしかないといてもたってもいられず…」
「なにっ!新しいダンジョンの入り口だと!!」
テスタの言葉に食らいついたのは、先程までぼんやりと食堂でパンを齧っていたダスタだ。
「こいつぁいいや!丁度最近刺激がなくてウズウズしてたんだ!オレは賛成だぜ!」
「ダスタさんならそう言ってくれると思ってましたよ~!」
きゃいきゃいとはしゃぐオジサン二人を横目に、蜜柑が尋ねる。
「……でも、町興しっていっても、具体的には何をするのかしら?」
「ハイ!もちろん内容についても考えておりますとも!」
「何これ何これ!あたしもみたーい!」
したり顔のテスタが突きだしたのは、一枚のポスターであった。
「「…バンバタトレジャーハンターズZ!?」」
突拍子もない内容に一同は目を丸くする。
……が、
「うおお!お宝探し!冒険!いいじゃねぇか…!」
「人がたくさん集まったら、あたしの踊り見てくれるかな!?」
「あら…賑やかになりそうね。」
「ひ、人がたくさん来るんですか…わ、私、ちゃんと話せるかなぁあ……」
「僕もたまには体を動かしたいと思ってたんですよね。」
皆からの反応はおおむね良好のようだった。
「よし!皆さん!そうと決まれば早速準備ですよ!!既に皆さんのお仕事は此方できめてありますので……あ、もちろん、手当ては出ますからご安心を!」
「ダスタさんはロビンさんと一緒に、まずは件のダンジョンの偵察と探索、整備をお願いします。」
「おお!任せろ!ダンジョンに一番乗りとはありがてぇ!」
「ぅ……が、頑張ります……出来る限り……」
「蜜柑さんは、万が一に備えて負傷者用の薬のご準備を」
「ええ、任せて。」
「そして、ルイナさんと九曜さんは此方のポスターをつかって宣伝をお願いします!」
「まっかせて!」
「了解しました。」
「……あ、それと、九曜さん、ムーンホール出身でしたよね?」
「ええ、そうですよ。」
「なら、柊さんは知っていますよね。九曜さんには、ムーンホールに行くついでに、此方のポスターを柊さんに渡して頂きたいのですが…」
「なるほど、任されました。」
「それを柊さんに渡してくれれば、あとは向こうで上手くやってくれるとのことでしたので、宜しくお願いしますね!」
「よし!それでは皆さん!バンバタの町興しのために、頑張りましょー!!」
「「おー!!!」」
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「……さて、あとはボクの仕事ですが…流石にこの納期は厳しかったですかねぇ~~…いくつ魔法石を作ればよいやら……」
「まあ、言っていても始まりませんね!なにはともあれ、バンバタトレジャーハンターズZ!スタートです!!」