少女はその部屋に幽閉されていた。毎日を計算と暗記に費やす日々。もう嫌気がさしていた。限界だ。彼女は両親に訴える。だがにべもなく、彼女はまた部屋へと戻される。少女は両親の目論見を知っている。街のために奉仕する人間を作るのだ。この街の理念は「人に奉仕する街」。本末転倒だ。
このまま機械のために働く機械になんかなりたくない!だが、今の彼女に反抗する力などなかった。自死する?いや、躯さえ利用されてしまうだろう。逃げよう。監視を欺くなど天性のハッカーである彼女には難なくできる。そして機会は訪れた。
久々に香る外の空気!少女は夢中で駈けた。広場を、裏町を、そして町境へ。安堵と共に最後のタイルを踏みしめる― 否、踏みしめる前に彼女は事切れた。たった0.1アンペアの電流(それでも致死量)に曝され、きれいなままの顔で、力なく倒れる。
なぜ、少女は死なねばならなかったのか?彼女の暗記させられていた項目には、外部に漏らせばシステムの危険を招きかけない、重要な機密が含まれていた。そして亡骸は秘密裏に回収される。結局のところ、街の中に幽閉される以外選択肢はなかったのだった。
end.
卒業済みのキャラクタの話ですが、個人的に気に入っているので一応入れました。