【捏造SS】海色の夢

―……夢を見ていた。体が青く蒼く染まって、やがて海色と一緒になる、夢。ヘアピンだけがキラキラときらめいて、深い深い水底へ沈んでいく…… 

目を開けると、それは夢なんかじゃなかった。パニックになって、助けを求めて喘ぐ。―助けて!水神さま!
― 泡もなく声は消えた。 やがて感覚も潮に溶けていく。
そして、苦痛すらもなくなり、やがて少女は思考を閉じた。

少女は幸福を感じていた。柔らかに凪ぐ海、誰も傷つけない器そのものになったことを。
深蒼に眠る小さなピンを、誰ぞ知る。

××年×月×日午前××時、ルーナ・エ・マーレ・イゾレ西部アッグロメラーレのカンパニュラ在住の少女が行方不明に。1か月を過ぎた現在も捜索を続けている状況。夜間に内海沿岸に出没するという不審者との関連が目されているが、詳しい情報の提供が求められている。

end.

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すた氏が呟いてた裏設定を元にしています。

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