【小説】魔法少女 ミラクル•まいご⑦(最終話•後編)

「全く、お前が来るまでずいぶんと待ったぜ!2週間近くも何してやがったてめー!!」

「色々とあったんですよ!!あなたには分からないでしょうけど!!」

「犯人の名前が分かってるんだったら、すぐ来れんだろうが!!」

「そんなの最初は知らなかったですって!!気づいたのは少し前なんですから!!」

僕はそう叫びながら、エクスさんの蹴りをスプーンで何度も弾いていた。

しかしこれでは拉致があかない。

そこで蹴った瞬間を狙って弾くのではなくギリギリで避けると、隙だらけのエクスさん目掛けてスプーンを大きく振りかぶった。

これに気がついたエクスさんは即座に体勢を取り戻そうとしたけど、僕は勢いを止めずにそのままスプーンを思い切りエクスさんに振り当てた。

ガコンッという乾いた音を鳴り響かせると、エクスさんはバコォッ!!と大きな音を立てながら住居の1つに突っ込んだ。

「はあ、はあ……勝負ありですね……」

「そいつは……まだちと早すぎるぜ…..」

「まさか…..」

もくもくと立ち込める煙の中を目を細めてキッと見つめると、中から埃を叩きながらエクスさんが歩いてくるのが見えた。

やがて煙が完全に消え去りエクスさんの姿が映ると、エクスさんはこちらに向かってニヤリと笑いながら立っていた。

「今の一撃で倒れませんか……本気で殴ったんですけどね……」

「確かに痛えな…..意識が吹っ飛ぶかと思ったぜ」

「ならもう降参して…..」

「まだそうはいかねえ。まだ、倒れるわけにはいかねえんだ。そうでなきゃ、お前とここで戦ってる意味がなくなるからな!!」

そう言い放った瞬間、エクスさんはいつの間にか右手に握っていた小石を先ほど突っ込んで崩れかけている住居に投げ入れると、両手を左右で交差させた。

「クロス•チェンジ!!」

「えっ…..?!」

その言葉を聞いた瞬間、僕は何故か暗いところに立っていた。

何が起きたのか分からずに辺りを見渡すと、テレビは転げ落ち、窓ガラスは割れ、どこからともなくミシミシという音が鳴り響いていた。

「まさか!!」

そう思い上を見上げた時には時すでに遅く、天井から崩れ落ちてきた瓦礫の山が頭にゴオンッ!とぶつかり、途端に身体中に重くのしかかるような痛みが襲ってきた。

う、動けない……
必死に両手を動かそうとするけど、体に力が入らない……

これはとてつもなくやばい…..
体は動かなくても、まだ考える事ができる脳で必死に今までのことを振り返る。

今のこの状況……たぶんだけど、僕はエクスさんが突っ込んで倒壊させかけた建物の下敷きにされている。

どうやったのかは分からないけど、おそらくエクスさんの能力だ……

エクスさんは確かなんでもかんでも入れ替えることができたはず。そんな不思議な事ができる能力なら、僕が突然移動させられてもおかしくない。

でもまずいことになった……
このままじゃ負けてしまうどころか、ここから抜け出せない。でも……

「ち、知力に乏しい僕じゃ脱出の方法が考えつかない……!!」

くうっ!なんとか、なんとか動いて!このまま決着なんて僕は嫌だ!!

せめて少しだけでも手が動かせれば、出られるかもしれないのに…….!!

「よおー、生きてるかー?」

「エクスさん……?!」

「なんだ、声がするってことはまだ気絶もしてないみたいだな」

「体力だけには自信があるんですよ!」

「へえー、体力だけには…..ねぇ」

瓦礫の上から伝わってくるエクスさんの声がそこで途切れると、そのまま何も聞こえなくなった。

聞こえなくなったってことは、今この上にはエクスさんがいないってこと……脱出するなら今しかない!

僕は歯を食いしばり波打つ痛みを堪えながら無理やり右手を動かすと、手探りで脱出に必要なあれを探す。

しばらく動かしていると、右手に硬い木のようなものが触れ、これだと言わんばかりにそれを握った。

そして……途切れそうになっていた意識を集中させ、右手に力を込め叫ぶ。

「突き抜けろォォォォ!!!!」

そう叫んだ瞬間小さくなっていたスプーンを巨大化させると、目の前を遮っていた瓦礫の山を勢いよく弾き飛ばした。

息を荒くしながらもなんとか立ち上がると、外の景色に目を丸くした。

そこには僕を心配した様子で見つめるキーラさんの他に、いかついお兄さんやふわふわと浮かぶ綺麗なお姉さん、そして子供から大人まで様々な人たちがこちらを見つめていた。

驚いた僕は咄嗟に前後左右360度全てを見回してみるが、どこを見ても白熱した様子の住民がこの広場に向かって叫んでいた。

「いつの間にこれだけの人が……?!」

「ふっ、なるほどね……エクスがやりたかったことが、やっと分かったよ」

「コーパルさん!大丈夫ですか⁈」

「なに、君に比べたらかすり傷だよ」

「そうですか……」

「それよりも君はエクスに集中するんだ。あいつは体力がない方だから、おそらく君からの初撃でそうとうガタがきてるはずだ。なら君の状態も考えて次で最後の攻撃のはず…..気を引き締めていきなよ!!」

「分かりました!!」

コーパルさんはそう言うと風の如きスピードで再びマジュコさんへと向かっていった。

それにしても、今の話が本当なら…..

「次で……最後」

僕は腰につけているバックに手を伸ばすと、光り輝くものを2つ取り出した。

1つは空を綺麗に映しながら溶けることなく冷気を保った氷柱。
もう1つは燃えさかる炎を出しながらも、心だけを燃やしてくれそうなクナイ。

どちらも、僕にとって大切な人から預かったもの。僕のことを心配し、心を強く残してくれたもの。

雪兎君。ジキルさん。
今ここで……使わせてもらいます!!

僕は大切な預かりものを空中に放り投げると、スプーンを強く振り払い叩き割った。

すると、スプーンの柄の先についていた透明な2つの石が蒼色と朱色に輝き出す。

それをしっかりと確認すると、スプーンを強く握りしめ前を向いた。

これからエクスさんがどんな攻撃をしかけてきても、僕はこのスプーンで殴り飛ばすだけだ。

心の準備はできてる。
きなよ、エクスさん……!!

「……?!」

なんだ…..?突然周りが暗く……

ち、違う!これは周りが暗くなったんじゃない!影だ!しかもとてつもなく大きな……!!

まさか!!

咄嗟に頭上を見上げると、そこにあったのは……

「なんだあれ?!」

「カブー像だァァァ!!!!」

「う、うぐッ?!!」

途端考える間もなく巨大な銅像に押し潰されそうになり、なんとかスプーンで抑えようとする。

でも……!!

「お、重すぎる!!」

「流石のそのバカ力でも、今の体力じゃこれは受け止めきれねえだろ!!おとなしく潰されろ!!!」

「ぐぐっ…..!!」

そ……そういうわけにはいかない!
ここでもし潰されてしまえば、僕はみんなの想いを無駄にすることになる!!そんなことは絶対にしたくない!!

1ミリでも気を許せば押し潰されてしまいそうな圧力を必死な思いで堪え続ける。

そのあまりの圧力に地面からは土埃が巻き起こり、力を入れている足は徐々に地面へとのめり込んでゆく。

周りから聞こえてくる歓声は、まるでダイナマイトが爆発したかのような大きな歓声へと変わっていた。

その中にキーラさんの声も聞こえた気がする。必死に呼んでいるような、そんな声が……

「諦めたくはない……でも、これ以上はもうもたない……!!」

そんな風に僕が諦めかけた時だった。今まで体全体にのしかかっていた圧力が嘘のように軽くなってゆく感覚にとらわれた。

一瞬、もう体が限界を迎えた…..
そう思った。

だけど何かが違う。体から力が抜けてゆく感覚には思えない。むしろ体に力が入ってくるような……

「これは……!!」

ふと左手へと視線を移すと、あの嫌でも忘れられなかった紅いリングから眩しいくらいの光が溢れ出していた。

い、いや……リングだけじゃない!
スプーンについていた3つの石からも光が漏れ出している!これは……

やがて目の前が真っ白になると、両手には光り輝く杖のような…..いや、銃のようにも見えるものが握られていた。

「幻覚……?」

そんな考えが一瞬頭をよぎったけど、確かに両手にはしっかりと握られていた。

これが何かは分からない…..
でも今は!!

持っていた不思議な銃のようなものを上空へと向けると、真っ白な空間へと銃口を合わせ……叫んだ。

「いっけえぇぇぇぇぇ!!!!」

ドォォォォォッ!!!!
という爆音とさらに溢れ出す光とともに弾丸のようなものが弾き出されると、その銃弾のようなものは途端に破裂し、その直後空、蒼、そして朱の3色の光を放出した。

3つの光は空中で1つに交わると、そのまま突如現れた銅像へと直撃し、勢いを止めることなく突き進む。

やがて銅像にヒビが入ると、一瞬にして伝達されるようにヒビが行き渡り、そのまま銅像を木っ端微塵にしてしまった。

銅像を破壊し尽くした光は一直線に軌跡を描きながら空へと昇ると、空中でこちらを見つめていたエクスさんにぶつかり……そのまま大きな音を立てながら爆発した。

僕がわけもわからずにポカンとしていると、ドサッという音が鳴り響く。

無意識に音の鳴った方を見つめると、そこには大の字で笑っているようにも見えたエクスさんが倒れていた。

その瞬間、徐々に止まっていた思考回路が正常な状態へと戻ってきた。

あそこにエクスさんが倒れている……ということは……

「かっ、勝った……?」

と呟いた瞬間、周りがどっとざわつき始める。間違いない……

「僕は…….勝ったんだ!!!」

そう叫ぶと同時に、周りの人々が今日一番の歓声を上げた。

途端に疲れがどっと溢れてきて、地面に吸い込まれるように倒れた。

でもなんだろう……倒れたはずなのに温かい……それに安心する……ような……?

目をゆっくりと開いてみると、目の前には僕がよく知る人が涙を流しながら笑っていた。

そっか……

「心配かけちゃったね、キーラさん…….」

「いいの…….貴方が無事ならそれでいいのよ……!!」

「……うん」

僕は止められない涙を流しながら、なんとか返事をした。

「へへ、してやれたぜ……」

「全く、君も無茶するもんだね」

「今回ばかりは……な」

遠くから聞こえてきた足音と話し声に気がつき前を向くと、そこにはコーパルさんに支えられながらこちらに向かってくるエクスさんの姿があった。

やがて2人は目の前まで近づいてくると、エクスさんが辛そうな顔をしながら口を開いた。

「お前の勝ちだ、ユウス」

「それじゃあ……」

「ああ、性別も元に戻してやる。でもその前に聞きたいことがあるんだろ?」

「はい。なんでこんな事をしたのか…..教えてください」

「そうだな……」

エクスさんは周りを見渡しいつの間にか近くに集まっていた住民を確認すると、やっとかという顔つきで話を続けた。

「この町のためだ」

「この町の……?」

「ああ。今日はコーパルが町長をやってはいるが、実はこの町の町長はボスと慕われていた人が務めてたんだ」

「ボス……?」

その言葉を聞いてどんな人だったか思い出そうとしたけど、姿も思い出せないので諦めた。確かに前に会ったような気がするけど。

「そうだ、ボスだ。でもその人がちょっと前に突然書き置きと共にいなくなっちまってな。ここの住民はみんなその影響で元気をなくしちまってたんだよ。俺は会ってから少ししか経ってないから平気だったが、あの砲弾迷惑野郎がおとなしくなるくらいだったし、そうとうあの人の存在は大きかったんだろうな」

「僕たちにとっては父親のような存在だったからね……」

そっか……
町が違和感を感じるほどに静かだったのは、そういうことだったんだね。

「だから俺はもう一度この町に活気を取り戻してえと思った。広場でどんぱちを起こせばみんなこの町の平穏を思い出すかもってな。だがそれにはいつも以上に盛り上がる必要があって、この町以外のやつの協力が必要不可欠だった。そこで運良く現れたのがお前だ、ユウス」

「僕ですか……?」

「ああ。ま、ぶっちゃけ誰でも良かったんだが。そこで俺はお前がいなくならないうちに作戦を実行したんだ。俺と」

「私でね」

突如聞こえてきた声に驚き振り向くと、そこにはニーナタウンで会った時と変わらない様子の人が立っていた。えっと…..

「名前は確か……」

「柊ですよ、ユウスさん。もう忘れたんですか?」

「あ、そうでしたそうでした!それで、何故柊さんが……?」

「何故って……私も今回の件には困ってたからですよ。あの人が消えてしまった直後から、全く客がうちに来てくれなくなって困ってたんです。そうして悩んでいたら、彼が突然押しかけてきましてね。ま、今回は利害の一致ということで協力したんです」

「ま、そういうことだ。お前の性別を変えてそれに困ったお前がニーナタウンでたまたま屋台を出したと偽っていた柊から俺へのヒントを聞き、ここまで来て戦う。それが作戦だったわけだ」

「そういうことだったんですか…..」

「でもよ、柊ー?俺は確かにお前にヒントを伝えろって言ったはずなんだが、なんでこんなに到着が遅いんだー?あー?」

「それは仕方ないですよ。だってユウスさん、言おうとした時にはもういなかったんですから」

「やっぱりお前のせいか!!おかげで2週間も待つハメになっちまったじゃねえか!!」

「ははは、ご冗談を」

「お前がな!!」

そんな2人の会話を聞いて、辺りにいた人たちがどっと笑いだし、僕も耐えきれずに笑ってしまう。

僕は最初から犯人を恨んだりはしていなかった。元に戻ればそれでいいと思ってた。例え犯人が悪意を持ってやっていたとしても。

でも違った。エクスさんは自分が目の敵にされるのを承知で、それでもこの町のためにやっていたんだ。

結果的に僕は利用されただけだったけど、こんな結末を迎えるのなら不満なんて一切ないよ。不満なんて……

ん?不満?

あっ……
そうだ、不満な事が一つだけあった。

僕は柊さんの方へと視線を向けると、柊さんに声をかける。

「あの、柊さん…..1ついいですか?」

「はい、なんでしょう?」

「この左手についてるリング…..これも作戦のうちの一つだったんですか?」

「ああ、それですか。いえ、それは今回の作戦とは全く関係ないです」

「……え?」

「それ、私の臨時収入ですので」

「ああ?!なんですかそれ!!」

柊さんは「ふふふ…..」と笑いながら自信ありげに僕が魔法少女になっていた時の写真を手に持っていた。しかも大量に。

「いやー、助かりましたよ。ニーナタウンの時の写真と今さっきまでの写真、ばっちり撮らせて頂きました」

「い、いつの間に!ちょっとそれ捨ててくださいよ!!」

「嫌ですよー。この写真、一部のコアな方々に高値で売れてるんです。そんな貴重なお宝を捨てるわけないじゃないですかー」

「柊さんー!!お願いですからそれだけは……」

「じゃあ私はこれで。あ、そのリングならもうすぐ取れますよ。付けてからちょうど2週間で取れてしまう代物なんでね。それではー」

「あー、待って!柊さんー!!」

行っちゃった……
ああ、これからあの写真がばら撒かれちゃうなんて……そんな……

僕はがっくりと肩を落とし、深くため息を吐いた。すると同時に左手についていたリングがパリンッと粉々に割れて崩れ落ちていった。

「リングが……」

「どうやら、これで本当な全部終わったみたいねー」

「キーラさん……うん、そうだね……」

「ま、これにて一件落着ってやつだな!」

「そんなわけないですよ!!」
「そんなわけないねん!!」

「ひっ⁈」

声を荒げながらエーリさんとハンマーを持ったお姉さんが突如現れたかと思うと、エクスさんの隣に立っていた。

2人はエクスさんを睨みながら声を上げる。

「エクスさん!なんで僕のカブー像バージョン2を勝手に戦闘なんかに使ったんですか!!最高傑作だったのに!!しかも壊してしまうなんて!!」

「い、いやーそれは仕方ねえだろ?演出だよ演出。やっぱあれくらいしねえと…..」

「そんなの理由になってませんよ!!」

「そうやそうや!あんたいつになったらうちの性別元に戻してくれんねん!2,3日経ったら戻すゆうから協力したのにもう2週間やで2週間!流石に長すぎや!」

「そ、それは柊のやつが悪いんだ!俺は悪くねえ!!」

「いいや、あんたがわるいんや!この責任は…..」
「きちんと取ってもらいますよ?」

「ひいい!!」

2人に迫られ怯えているエクスさんの様子がおかしくって、つい笑ってしまった。

周りもそれにつられて笑い出す。

本当に終わったんだなぁ…..
周りの住民が騒がしくしているのを見ると、本当にそう思えてくる。

色々とあったけど、楽しい旅だった。たまにはこんな迷子(たび)もいいな……なんて思ったりして……

そう思った時だった。
突如として周りの住民が先ほどまでとは違った感じでざわつき始める。

誰かが「空を見ろ!」と叫び言われた通りに空を見上げると、黒い点が点々と浮遊しながらこちらに向かってきていた。

あれはまさか…….

「ダークマター?!なんでまた!」

「分からないけど……あれは間違いなくそうね〜」

「ダークマターだあ?へ、こんな時に律儀なこったぁで」

「え?」

「やれやれ、全くその通りだね」
「やったるでー!」
「お腹が空くまでは頑張りますよ!!」

「お前ら……!!よーし、行くぜムンホ民!!あいつらに復活したこの町の力を見せてやろうぜ!!」

「「おーー!!」」という住民全員の叫び声と共に、ダークマター達が攻撃を仕掛けてきた。

それを見た住民達は皆戦闘を始めたが、その顔はどこか嬉しそうだった。

「キーラさん、僕たちも」

「ええー……そうね」

「ならボクも混ぜて欲しいな〜」
「助太刀するでござるよ」

「その声は……!!」

「ふふ、こっちも全員集合ね〜」

全員集合……か。
嬉しいな……うん、こんなに嬉しいことはないよ。よーし!

「僕たちもいこう!!」

「「おー!!」」

ありがとう、みんな。
そして……

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「今回は大変でしたね。でも無事男に戻れたようで良かったです」

「はい……もうくたくたですよ」

僕はテーブルの上に置かれたクッキーを1枚取ると、口の中へと放り込む。

向かいでは僕の旅の話を一部始終聞き終えた先生が何やら考え事をしていた。

お茶を一口飲み込み、クッキーをもう1枚取ろうとしたところで先生に話しかけられた。

「うーん、でも1つだけどうにも分からないことがあります」

「なんでしょうか?」

「ユウスさんは銅像に潰されかけた時にリングが突然光り出し、気づいた時には銃のようなものを撃ってたんですよね?でもユウスさんはその時スプーンを握っていたはず。それなら、その銃はなんだったんでしょうか?」

「そのことですか……それは僕にも分からないんですよね。あの銃がなんだったのか…..撃った後に握っていたのはスプーンでしたし」

そう、間違いなく銃なんてものを僕は持ってないし、あの時はスプーンを握っていたはず。

分かっているのは、リングとスプーンの柄についていた3つの石が同時に光り出し、あの銃を見たということだけ。

理由も原因も分からない。けど…..

「奇跡……」

「え?」

「奇跡ですよ、先生。魔法少女として起こした奇跡……少なくとも僕はそう思いたいです」

「奇跡……ですか。不思議な事もあるものですね」

「そうですね……」

「そんな奇跡を起こした貴方に一言だけ……おかえりなさい、ユウスさん」

その言葉を聞いた僕は、少し笑いながら答えた。

「ただいま、先生!」

本日の天気は雲ひとつない晴天。
ふと周りを見渡せば、町行く人々が気持ちよさそうに過ごしていた。
そんなかけがえのない1日が、今日も流れる。

おわり。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ナルホド、ヨクワカッタ。ゼンイン、ジュンビガデキシダイアノホシヲコウゲキスル」

「……」

→to be continued ……

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