でたらめすぎる世界のでたらめな新人

「………ん…?」
青い空…白い雲…
見慣れた景色のようでどこか違うそれ
違和感をやっと感じはじめてこの少年は起き上がる
「…どこだここ……?」
慌てて少年は自分に変化がないか体を見る
特に変化らしきものは無い
「……ガアヴァ、おいガアヴァ」
左腕につけた金色の腕輪に話しかける。傍から見れば変人の様だが、彼からすればこの行動は当たり前のひとつだ
『…おお、紅牙。お前さんも気がついたか』
「うぉっ…よかったぁ…」
脳に直接響く声…テレパシーの声が聞こえた瞬間、彼は思わず力が抜ける
「…でさ、ここ…どこだと思うか?」
『知らん。』
「…は?」
『こんな場所、俺様は知らん』
「えええっ!!?知らない!?」
『妙な気配だらけで知ってるものがまるでない。こりゃ下手したら世界自体別モンかもな』
「…それって…」
『あいつのおかげで、時空どころか世界まで越えちまったってことだ。推測だけどな』
「うわ…ほんっとどうしよう…」
思い当たるふしはあるものの、いかんせん意図が掴めない
「…ともかく、どう行動しようか…」
一面鮮やかな草原。しかし歴戦の剣士である紅牙にはどうも見え透いてならない。
「動けん…」
『…ん?』
「何かあったのか?」
『……お、紅牙、助け船が来たぜ?』
「助け船?」
『ああ、とびっきり強力な奴だ』
楽し気なガアヴァの声。紅牙は意味がいまいち理解できず、クエスチョンマークを浮かべている
「おぉーーーーい!!」
聴きなれた声、真紅の体
…そして純白のシルクハット。
「ノヴァ!?」
「応よ!久しぶりだなぁ、紅牙にガアヴァ」
『まさかお前さんまで来てたとはな』
「旅の一環でな」
二人は紅牙達のもといた世界で知り合った仲。紅牙は知り合いの登場に安堵した
「…しっかしお前さん達、何でここに?」
「急にとばされて来ちまったんだよ…ここまで言やぁ、あんたにはわかるだろ?」
ノヴァは少し考えたのち、あー、とだけ言って苦笑した
「ま、気にすんなよ。そうそう命狙われ続けるよーな物騒な世界じゃないからな」
『…だといいがな』
「ノヴァはまたあちこちまわってんのか?」
「ああ。おかげでちょっとずつだが知り合いも増えてきたぜ」
「ははっ、そりゃー頼もしい」
『…紅牙、とりあえず戻る方法が見つかるまではのんびりすごそーぜ。勿論、修行は欠かさせないがな』
「まずさぼらねーよ」
こうしてこの世界に新たな『旅人』が現れた
彼らを待っているのは、果たして……

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