【小説】思惑【バントレ!】

ーーー時を遡り少し前ーーー

「……いやー、それにしても、なんとか開催に間に合って良かったですねぇ…」

ぽす、と自室のソファーに座りテスタは思わず安堵の声を漏らす。

つい先程、イベントの開会式を終え、いよいよバンバタの一大イベント、バンバタトレジャーハンターズZが開始したのだ!

……そして、主催者であるテスタは、ここ最近の仕事漬けの毎日だったせいか、ややげっそりとした顔で、久々の小休止を満喫しようとしていたのであった。

と、そんなところへ一人の来客が来たようだ。とんとん、とドアを叩く音がする。

「どうぞ」

ソファーから立ち上がるのも億劫なテスタが、そのままドアの外の訪問者へ声をかける。

「おや、鍵もかけずに不用心ですねぇ…と、これはこれは、お疲れのところ失礼しますよ、テスタさん」

ガチャリ、とドアを開け入ってきたのは、今回のイベントの協賛者である、ムーンホールの柊である。

「いえ、こちらこそ……たいしたおもてなしもできず、すみません。」

「まあまあ、そんなに堅くならずに…こうして、開会も済ませられたことですし、ね」

持ってきていた大荷物を下ろしながら、柊はテスタに向かってこそこそと尋ねる。

「……ところで、『アレ』の首尾はどうですか?」

「ええ……昨日、なんとか完成したところですよ」

ふふふ、と黒い(?)笑みを浮かべつつ、テスタも答える。 

「そうですか!それはお疲れ様でした……折角のイベントですから、ねぇ。…楽しみにしておきましょうか。」

「ええ……”その時”が来ればいいですけどね」

「そうなったなら、私もお手伝いさせて頂きますとも…ふふ」

テスタと柊、二人の思惑は一体何なのか、 バンバタの熱気はその勢いを増していくのであった。

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