【小説】ハロウィン祭2017 (5)

「お前ら!張り切っていくぞ!」
何故か張り切っているリエン、それに続けて「おー!!」とアリス&雪兎が声を出す。
昨夜はアリスの家にお泊りした雪兎。
蜘蛛事件もあったので、子供1人では何かあってからでは遅い。
そういう訳でアリスの世話になったようだ。
「今日はハロウィンだが、昨日の妙な事件が気がかりでよく眠れなかった!そこで…2人にはハロウィンフェスティバルのついでに大蜘蛛捜索を行ってもらう!」
「「え~…」」
折角のお祭りに虫探しなんて水をさしたも同然。
とても申し訳ないのだが、2人に協力してもらうしかない。
「天使も簡単に動かせないんだ」
そう付け加え両手を合わせてみせるリエン。
どうやら彼も大蜘蛛がこの事件の鍵だと睨んでいるらしい。
自分の街にイタズラした犯人を何としてもとっちめたい、相手が誰だろうが容赦しない心持ちのリエンにアリスは溜息が出た。

【ハッピーハロウィン!!】

ジークフリートの中心街は午前中からお祭り騒ぎ!
西から中央にかけて、建物や街灯にはオレンジ×紫の装飾が施されていた。
因みにハロウィンの流れは毎年こうだ。
・15:00からパレード
・夕方には装飾のライトアップ
・夜に広間から駅に繋がる大通りが歩行者天国へ
・歩行者天国で仮装をして歩いているとお菓子が貰える
・21:00にてイベント終了の合図の花火が上がる
といった感じだ。

「最高にクレイジー…」
祭り当日の歩道を埋め尽くす住民の量に目が回るハロウ。
「ハロウィンっていうのは もっとこう…」
普段行っているハロウィンと雰囲気から何まで違うことにようやく気付き、戸惑っている。
地域によって祝う形は異なると聞くが、これじゃあまるでディズ○ーランドだ。
街中で配られていたイベント内容記載のチラシを一通り読み終わり、立ち上がる。
「ま、いいや 夜になったら本当のハロウィンってやつを教えてあげるし…」
そう言い彼女は姿を消した。


「おい、早くしないか」
「えぇ?夕方でも全然大丈夫だよぉ」
「?」
「この時季はねぇ 離れた場所と空間を繋げることが出来るんだよぉ」
呑気に凄い発言をするレナード、そんな能力があったなんて驚きだ。
「あ、僕じゃなくて この館が凄いんだけどね」
ポルター・ストールと呼ばれるこの館、名前の通り如何にもな感じ。
実際地元でも出ると噂の人気心霊スポットである。
その館に住み着く住人たちはどうやら、お出かけする予定があるらしい。
目的地では既に祭りが開催されているのに、夕方までに着けば良いと考えているレナードに対して、今回初めて行くミュールは早く行きたいほど楽しみだったようだ。
「そもそもこの時間にミッチェルを連れて行くなんて、酷いことは出来ないよ~」
「うっ…」
「気長に待とうねぇ?」

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