【小説】ハロウィン祭2017 (2)

「…蜘蛛なんてどこにもいないぞ?」
「いたもん!!」
「お前ら、口より手を動かせ」
「「はぁ~い」」
雪兎が見たという蜘蛛を探し始めて30分。
離れた場所から確認できた程に大きな蜘蛛を見つけることが出来ない3人。
扉の裏にはそれほど荷物が置かれていないため、すぐ見つかるものだとばかり思っていた。
「もうこの辺りにはいないのかなぁ・・・?」
「住宅街経由で森に帰ったとか・・・だといいんですけど?」
「確かに、荷物をどかしても見つからないんじゃあ どうにもな・・・」
諦めた3人は元いた場所に戻るため歩き出す。
その後ろにそびえ立つ扉に、ぼんやりと蜘蛛の形をしたシミが浮かび上がっていることに誰も気付かずに・・・


「…コンタクト!!コンタクト出来そう!?」
クランクゼィッニッヒ・イディアール、暗い森に囲まれカボチャの街灯で照らされたその街には、魔女が住むと言われている。
その街の中心部にはシンボルともいえる塔があり、塔の最上階に…魔女はいた。
「ふむふむ ジークフリートでハロウィンフェスティバル…お菓子と子供は十分、肝心の死者の魂や怪物がいないのねぇ」
「…!!…?」
「yes!だからミー達がお手伝いしてあげるネー!」
スイートストリートの扉に出来たシミは、どうやら彼女の放った蜘蛛の一匹が寄生した印のようで、扉から街の状況を調べているらしい。
「30日にそっちに行くから上手くやり過ごして…うんうん」
上機嫌な魔女につられて周りに居た蜘蛛たちもお尻を振り踊りだす。




プチッ
「ッ!?なんか今踏んだぞ!?」
「えぇ?もしかして落としたお菓子じゃないですか?困りますよぉ」
ライロが何かを踏んだと言うので足の裏を見てあげるアリェーニ。
「きゃーーーーー!!」
「おおおおおぃい!?何だ!?なんかマズイもの踏んだか!?」
「くくくく蜘蛛も!!」
どうやら小さい蜘蛛を踏んでしまったらしい、生憎今は午後なので罰は当たらないと思うが。
「ライロさん、足の裏洗ってきた方がいいですよ・・・?」
「そそそそうだな、なんか気持ち悪いし・・・」
お菓子に寄ってきたのだろうか?
そんなのんきな事を考えながらアリェーニに連れられ足を洗いに行くライロだった。

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