【小説】ハロウィン祭2017

「ハロウィン限定お菓子とかあるよー!ねぇ!ねぇってば!!」
キャラ崩壊しつつある雪兎がピョンピョンしている。

ここはジークフリート
今年も秋恒例のイベント【ハロウィン】を開催するため作業に追われた大人達がせっせと働いている。
今回はお菓子の生産が世界一と言われている夢の国、スイートストリートから直接仕入れをしているため街の子供は大はしゃぎだ。

「いやぁ まさかあっちが全面協力してくれるなんて、思ってなかったですねー!」
普段我々が目にしている姿とは打って変わり、一般市民に成りすましたリエンが子供同様ウキウキしていた。
「見てくださいよ!街中にスイートストリートの扉!そしてそこから川のように流れてくるスイーツ!あ、因みにこれ装飾用の腐らず食べれずのお菓子サンプルらしいです!」
カップケーキのサンプルを手にして目を輝かせている、確かにクオリティが高い。

「ちょっとー!リエンさーん!あまり触らないでくださいよー!」
業者の海からアリェーニの声がする。
ハロウィン期間は宅配モードの彼女、今はお菓子運びの手伝いをしている。
「ぐぁー!運んでも運んでも減らねぇ!!」
多分バイトでライロも駆り出されているのだろう、しかしそう叫びたくなる気持ちも分かる。
運んだらその2倍は扉から出てくるのだ。

「お前は手伝わなくていいのか?」
リエンの隣に立っている雪兎の他にもう1人、真っ黒な警官が立っているのだが、先程から荷物が流れていくのを見ているばかりだ。
「俺はお前ら一般が業者の邪魔にならないように誘導するのが仕事だ、それにこんなに人手があるんだ 俺はいらないだろう?」
「そんなこと言って~ビーストリヒさんもちょっとお菓子が食べたいなーとか思って眺めているくせに!」
雪兎に投げられた言葉にピクッと尻尾が反応したのをリエンは見逃さなかったが
「そんな訳ないだろう、子供じゃあるまいし」
と彼は言うので黙っておこう。

「…ハロウィン、今年はとくに賑わいそう」
「そうですね~今年はあのスイートストリートの扉が開いていますし、より一層盛り上りますね!」
フルーラが経営するお店の中からも外の慌しさがよく見えた。
今日は体調が良いと言うブランシェットも この人混みで少々疲れてしまいお店に避難中。
「その内、扉の中 覗いてみようかな・・・」
街の中に扉が出現するなんて滅多に無い事、これを逃すと次なんてない気がした。
「スイートストリートと言えば!スイーツ食べ歩きをしなきゃ損ですよ!」
後で皆誘って行きましょうよ!とフルーラはノリノリである。

時を同じくして
「Oh!どこかでハロウィンパーティの準備をしているみたいね!ここはミーもアピールしなくちゃ!」
暗い森に囲まれた怪しい街で女性が1人叫んだ、すると街には灯りがつき、ジャックオランタンが目を覚ます。
彼女の叫びを合図に南瓜の笑い声がこだまして、土から沢山の蜘蛛が出てきた。
「さぁ皆!パーティ会場にLet’s go!!」
蜘蛛はもの凄いスピードで森を駆け抜け、世界各地へ繋がる時空の歪みに飛び込んでいった。

「あれ?あんな所に蜘蛛が・・・」
今だに運搬作業を眺めている3人、内の雪兎がスイートストリートの扉を指差す。
「んー?蜘蛛ー?」
リエンは目を凝らして探してみるが蜘蛛なんか見当たらない。
「ほら!扉の先端!上に・・・あっ、後ろに落ちた」
「食品の周りに虫は不衛生だな 駆除する」
そう言い扉の裏へ向かうビーストリヒ。
僕もと雪兎が付いていき私もとリエンが付いていく。



「今年のハロウィン、面白くなるネ~」
ヒヒヒッと蜘蛛の魔女が笑った。

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