終を告げる放送が響き渡る
晴れた空は我々の勝利を祝福し
太陽の光は疲弊した身体を暖めてくれる
ある者は仲間と喜びを分かち合い
ある者は散華していった戦友たちに語りかけ
ある者は安堵し涙を流す
深く 深く青い空に 途切れ途切れの一線の雲
私はあの雲のように いくつもの死を経験した
そして今 この飛行場に立っている
一人前のパイロットにして頂いた教官
機体を万全の状態にしてくれる整備兵
共に励ましあった航空隊の仲間
何度も死の淵から救ってくれた軍医達
私を育ててくださった母と父
悩みを聞いて 喧嘩をして 一緒に遊んでくださった兄
私を支えてくれた全ての人々の礎の上に立ち、一つの終わりを迎えている
私は願う
我々が起こした間違いが消される日が
恐怖が奥底に隠れ去る日が
そして太陽の光が
我々を導いてくれる日が来るように
富嶽橘花